Claude Code UXリサーチャー:AIエージェントによる競合分析とUIベンチマークの自動化
TL;DR: 毎週10時間を「競合調査 (Competitive Audit)」に費やすのはやめましょう。Claude Code(ターミナルAgent)と Playwright を組み合わせることで、競合サイトを自動スクレイピングし、AI VisionでUIを分析するリサーチ助手を構築できます。今回は Perp DEX の取引量上位を実例に解説します。
対象読者
- UXリサーチャー:手動のキャプチャや表作成から解放され、戦略的な分析に集中したい方。
- PM(プロダクトマネージャー):競合機能のアップデートを迅速に把握し、PRDの意思決定に活かしたい方。
- dApp競合分析アナリスト:Web3エコシステム全体のインタラクションパターンを専門に調査する方。
ユーザー・ジャーニー (User Journey)
人物像: Max、DeFiプロトコルのシニアデザイナー。
- 起動: 月曜日の朝に
claude-watchtowerスクリプトを実行。- 自動化: エージェントがAPI経由で上位プロトコルを特定し、最新のスクリーンショットをキャプチャ。
- AI分析: Claude Visionが自社プロダクトと競合の「取引画面」を自動比較。
- 成果: Maxは10分で構造化されたレポートを確認し、残りの8時間を差別化設計に充てる。
課題:終わりのない「調査疲れ」
変化の激しいDeFi界隈では、競合他社が毎週のように新機能をリリースします。プロダクトデザイナーやPMにとって、それらを追跡することは以下の作業を意味します:
- 10以上のdAppを手動で訪問する。
- 数十枚のスクリーンショットを撮る。
- スプレッドシートに機能の有無を記入する。
- UIコピーの変更を記録する。
作業が終わる頃には、そのレポートはすでに古くなっています。これは典型的な「繰り返しが多く、価値が高い」タスクであり、AIエージェント・ワークフロー の最適な候補です。
ステージ1:AIによる「体力作業」の代行
自分ですべてを行う代わりに、面倒な作業をClaudeに任せます。
ステップ1:自動検出 (DeFiLlama 取引量)
競合リストを手動で管理する必要はありません。DeFiLlamaのAPIを使用して、24時間取引量上位10位のPerp DEXを取得します。高取引量は、その取引インターフェースが高度に最適化されていることを示唆します。
Claude Codeへの指示例:
「DeFiLlama APIを使用して、24時間取引量上位10位のPerp DEXプロトコルを取得するスクリプトを書いて。各プロトコルのトレード画面のURLをJSONファイルに保存して。」
ステップ2:Agentの「目」(Playwright)
Claude Codeは、Playwrightスクリプトを生成して実行し、ヘッドレスモードでこれらのURLを訪問できます。
主要なアクション: 「ヒーローセクション」と「トレード用ダッシュボード」のスクリーンショットをキャプチャします。
// Claudeが生成したPlaywrightのコード例
const { chromium } = require('playwright');
(async () => {
const browser = await chromium.launch();
const page = await browser.newPage();
await page.goto('https://hyperliquid.xyz');
await page.screenshot({ path: 'assets/hyperliquid-trade.png' });
await browser.close();
})();
ステージ2:AI Visionによる深度分析
スクリーンショットを撮るだけでは半分です。次に、Anthropic Vision の機能を使用してUXを「読み取り」ます。
キャプチャした画像をClaudeに渡し、構造化された指示を与えます:
「この Hyperliquid のトレード画面画像を分析して。以下の項目を抽出して:
- 注文パネル (Order Entry) の配置 (左側/右側)。
- 主要なCTAボタンの色。
- 表示されているすべての資産リスト。
- 視覚的な階層構造 (Hierarchy) を1〜5点で評価して。」
アウトプット:ベンチマーク・マトリックス
最終的な成果物は画像のフォルダではなく、PRDやNotionにそのまま貼り付けられるクリーンなMarkdown形式の表です。
| プロトコル | 主要資産 | 主要 CTA | 視覚スタイル | UX 複雑度 | 24H 取引量 |
|---|---|---|---|---|---|
| Hyperliquid | USDC | Deposit | プロ向け端末 | 高 | $1.2B+ |
| dYdX | USDC | Trade Now | 機構投資家向け | 高 | $800M+ |
| GMX | GLP/GM | Long/Short | デファイ・ネイティブ | 中 | $300M+ |
効果の定量化:AIエージェント vs. 手動調査
| 項目 | 手動分析 (10社比較) | AIエージェント (自動) |
|---|---|---|
| データ収集時間 | ~4時間 | 5分未満 |
| 分析の深度 | 個人の主観に依存しやすい | 構造化されたタグ付け |
| メンテナンス | 高 (手動での再撮影) | 低 (コマンド一発で更新) |
| 網羅性 | 抜け漏れが発生しやすい | 定義済みルールを100%適用 |
FAQ
Q: AIの分析結果はどのように検証すべきですか? A: 「サンプリング検証」を推奨します。生成されたレポートの10〜20%をランダムに抽出し、実際のスクリーンショットと照らし合わせて、Visionモデルが特定のUI(ダークモードや複雑なアニメーション)を正しく認識しているか確認してください。
Q: ウォレット接続が必要な画面も分析できますか? A: Playwrightで秘密鍵を注入したり、セッションをシミュレートすることは可能ですが、開発の複雑さが増します。初期段階では、接続なしでアクセスできるパブリックな「トレード画面」のビジュアルベンチマークに集中することをお勧めします。
リスクと制限事項
AIエージェントは効率を劇的に向上させますが、以下の制限に注意してください:
- 視覚情報の依存性: この手法は静的なスクリーンショットに基づいています。スクロールでトリガーされるアニメーションや多段階のモーダルなど、複雑な「インタラクションフロー」の分析には、人間の介入が必要です。
- トークンコスト: 高解像度のスクリーンショットをキャプチャし、Visionモデルで処理を繰り返すと、APIコストが発生します。
- アンチロボット対策: 一部のdAppはヘッドレスブラウザをブロックする場合があります。プロキシの使用や、より「人間らしい」Playwrightの設定が必要になることがあります。
🚀 なぜ2026年にこれが重要なのか
単なる効率化だけでは不十分です。「人間 + AI」の時代を生き抜くには、リサーチャーから**アーキテクト(設計者)**へと進化する必要があります。
データの収集に8時間を費やす代わりに、AIによる自動調査レポートの確認に15分を使い、残りの7時間45分を「競合と差別化するための真の設計決定」に充てるべきです。「データを探す人」から「データの活用を設計する人」へ。
結語:独自の「監視塔」を築く
競合を追いかけるのではなく、自律的に観察しましょう。「Claudeの監視塔」を構築することで、退屈な雑用を戦略的優位性に変えることができます。
次の調査を自動化する準備はできましたか?さあ、構築しましょう。
